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「ケイタイ貸して、撮ってあげる」
「いいよ。形じゃなくて、ここに残すから」
想い出づくりのはずなのに、瑛太は1度も写真を撮ろうとした事がない。何度撮ろうと言っても、頭を突いてはぐらかす。今日は絶対に譲らないと決めていた。
「はいはい。むこう言ったらSNSはフェイスノートが主流なんだから、プロフィール用に。ね」
ついに根負けして鞄からケイタイを出した。それを受け取ると、橋をバックに瑛太を撮った。
詩織は橋をくぐり終わるのを待つ間に、こっそりケイタイを内カメに切り替えた。くぐり抜けた所で、もう1枚と言って、橋をバックにした自分を撮るとバレないように返した。案の定、瑛太は写真を見る事もなく鞄にしまっていた。
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