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その愛、育ててますか?──永遠の愛
「私、花屋になりたいの⋯⋯」
桔梗の口からは、全く想像もしなかった言葉が返ってきた。
「おぉ。そっか、花屋か」
「⋯⋯うん。おばあちゃんがお客さんと楽しそうに話しながら、お花を選んでいるのを見るのが好きだったんだよね。だから私もいつか、一緒に働くんだって思ってた。それなのにお店を閉めることになって、ここも人手に渡って⋯⋯。病気のせいもあるけど、あれからお母さんずっと暗い顔してて、笑顔も少なくなったの」
彼女は目を潤ませながら、話を続ける。
「それってみんな、うちから花が消えたからだって思ってた。だからみんなの笑顔を取り戻すためにも花屋になりたいの。でもお母さんに話したら、やめなさい、って。私たちのような苦労をする必要はない、大学に行って勉強して本当にやりたい仕事をしなさい、って」
桔梗の目からは、ポロポロと綺麗な涙が溢れ出した。
「でも桔梗の心は決まってたんだろ」
「⋯⋯そう」
「どうしてもやりたいって伝えた?」
「言ったけどダメだった⋯⋯」
「そっか。でも桔梗のことを思って反対したんだろうな」
「分かってる、でも⋯⋯」
「桔梗の思いが本気だってこと、分かってもらいたかったんだよな」
「ううっ⋯⋯」
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