その愛、育ててますか?──誠実

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 さっき産まれたばかりの小さなつむじ風に舞い上がり、サラサラと優しく音を立てる落ち葉を、木々の隙間から差し込んだ日差しが黄金色に染める。  ネイビーのスタンドカラーのコートの襟を立て直し、ポケットに手を入れた。  大通りの両脇に続く店は昔馴染みのところもチラホラ残っていたが、大きなスーパーやチェーン展開の店に取って代わってしまったところも、ざっと見ただけで結構ある。だいぶ変わったんだなぁ、ここらへんも。  桔梗と待ち合わせをしている店は、この通り沿いのもう少し先に行ったところにある。  俺は桔梗に愛情を持っている。  それも長い間。  これは紛れもなく愛だ。 ⋯⋯まぁ、そんなことを彼女の前で口にしたなら、照れ隠しに、キモっ、と言われるに違いないが。  彼女がいつまでも彼女らしくいられるようにと願うこの気持ちが愛じゃないと言ったらなんだというのだろう。  かのゲーテも言ってたじゃないか。 『愛は支配しない。愛は育てる』と。  だから今日だって、せっかくの秋晴れの休日なのに、二つ返事でここへやって来た。まぁ、イチョウ並木を腕を組んで歩く相手も今はいないし。結婚まで考えた彼女と別れてから一年が過ぎた。時間とは無情なものだ。  
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