その愛、育ててますか?──清楚

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その愛、育ててますか?──清楚

「よっ、久しぶり。待たせたね」   腕時計はまだ約束の時間の5分前を指している。桔梗にしては珍しい。  「うんん。さっき来たばかり。やっぱり、たっくん、そのヒゲ似合わない。この間、ウチに来た時も思ってたけどさ。もしかして、映画俳優か誰かの影響受けてたりして」 「レオ様だよ」 「何それ」 「ジェネレーションギャップだな。知らないならいいよ」   今まさに指摘されたうっすら伸ばした顎の髭を触りながら、桔梗の前の席に腰を下ろし、褐色の飲み物の入ったカップが彼女の前に置かれていることに気付く。  「それって、コーヒー?」  「うん、そうだけど」 「桔梗って、ブラックコーヒー飲めるんだ」  「私、高2だよ」  「自慢じゃないけど、俺は最近だから。ブラック飲めるようになったの」 「子供か」  「誰がや」   二人で目を合わせて笑い合う。  彼女が中学生になったころから、ちょっと生意気なことを言ったり、大人を斜めに見るような行動が出てきて、姉貴とバトルしている光景は見掛けていた。だが根は真面目でしっかりしていることを俺は知っている。   奥にいた店員に声を掛け、桔梗と同じものを頼んだ。ここで俺が甘々のミルクコーヒーなんかを頼んだら大人の名が廃る。  
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