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理由のわからない存在意義(※)
1
「さぁ慈<イツク>、私を悦ばせてごらん・・・?」
「―――はい・・・、要<カナメ>さま」
満足そうに口端を持ち上げ、そのひとは僕を舐めるように眺める。まるで視線だけで犯すように。
けれど、僕には抗う術がない。・・・というより、そんな権利はないんだ。
―――――理由などわからない。それでも僕は、彼のものだから・・・。
スーツをかっちり着込んだまま、ベッドヘッドにゆったりと背を預け、僕の一挙手一投足をじっと見つめている。
僕はそんな熱の籠もった視線を感じながら、目の前の男を昂ぶらせる為の行為をさせられる。
腿の半分辺りまでしかない真っ赤なシルクの肌着を着せられている僕は、長さの割りに少ない釦を3つ、震える指先でゆっくりと外し、毎日繰り返し散らされる所有の印を俯けた視界に認めつつ、やはりゆっくりと、焦らすように肩からするりと肘まで落とし、うっ血だらけの肌を晒してみせる。
「―――あぁ、今日もとても美しいよ。私の慈・・・」
目を細め、そのひとは本当に眩しそうな表情で僕を見つめ、「さぁ・・」そう言って続きを促す。
僕は視線を逸らしたまま小さく頷き、彼の少し開いて投げ出した足の、膝の間に向かい合わせでぺたりと座る。
彼の両脚に絡めるように膝を立て、左手を体を支えるように少し後ろの位置に突き、右手を何の兆しも見せていない自身に添える。
「――か・・要、さま・・・。猥らな僕を・・見て、下さい・・・」
未だ慣れることのないこの行為。羞恥に頬を火照らせて、僕は涙目のまま目の前の支配者を見つめ、柔らかな自身に、強制的な刺激を与えていく。
反応を見せるのは生理現象だから。これは本当の意味での快感でない事くらい、僕にもちゃんとわかっていた。
―――――けれど。
心ではなく、体が覚えてしまった。
薄紅色に染まったソレを、僕は無心で擦り続ける。
先端からは透明な液がジワリと滲み出て、僕の手が、僕の零した雫で滑りだす。
「――――っは、ぁ・・・っ、かな、め・・さま・・ん、ぁあっ・・・!」
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