ありがとうポイント

それから一ヶ月が経った。

俺はマンションを追い出されていた。昼過ぎだというのにボロいアパートで薄い毛布にくるまっていた。どうしてこうなった。最初はとても好調だった。ポイントもどんどん貯まり部長にもなれた。しかし俺はその座を一瞬で手放すことになる。同僚の一人が命の恩人になったとかでポイントを一気に5000ptも得たのだ。そいつは部署の仕事を全て自分が引き受けた。そして、その仕事を部下に回した。すると部下は自分の仕事をやってもらったそいつに感謝される。みんなのポイントが貯まる。俺はそいつの部下ではなかったらしい。相対的に俺のポイントは低くなった。

会社がなくなったせいで人付き合いは極端に減った。ボランティアだけではポイントは全然貯まらなかった。ポイントがないので再就職もできない。

あいつは運が良かっただけじゃないか。回りの奴らも、あいつのおかげでポイントが貯まったんだ。自分の力じゃない。俺は自分の力で貯めたんだ。これまでも、今も。ふざけるな。