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荒野の三人
整備された道が無くなり、草木もまばらな山の裾野を三人は縦に並んで歩いていた。少しずつ勾配もキツくなって行く中、絶妙に歩きにくい大きさの石ばかりで歩くたびに足首に負荷がかかった。
少し離れて一番うしろを歩くポテトが足を止めて二人に訴えた。
「ねぇ、もう疲れたよ。ちょっと休まない?」
「さっき休んだじゃない」
先頭を切るハニーが後ろも見ずに声を張った。
「でも僕もちょっと疲れたかも」と真ん中のイーロンも足を止めた。
ハニーは二人を振り返ってから空を見上げた。
「もう!なんて日なのよ」
陽はかなり傾いていた。太陽が真上にあった頃から自転車で30kmも走り、道が無くなって自転車を諦めてから2時間は歩いていた。
向かう先を見ると鬱蒼とした森が広がっていた。
「今のうちに寝るところを探しておいた方がいいかも」とイーロンは手頃な岩に腰掛けている。
「そうだよ!お腹も減ったし!!」
二人に追いついたポテトもイーロンの横に腰を下ろす。
ハニーは森と空を交互に見てから両手を左右に広げて「わかったわ」のジェスチャーをした。
森に入れば何がいるか分からない。ここなら辺りも見渡せる。でも身を隠す場所は少ない。
「どこかいい場所はないかな?」
見渡すハニーを真似て二人も辺りに目を凝らした。
「あっちにちょっと大きな岩があるよ。近くに木もある」とイーロンが指差す方向にはたしかに岩のようなものが見えた。
「行ってみましょう」
「僕は待ってていい?」とポテトはお尻を上げようとしない。
「もう!歩いたほうが痩せるよ!」
「でもお腹も空く」
「いいよ、二人で行ってみよう」
イーロンがハニーを促して岩に向かって歩き出し、ハニーもしぶしぶ後を追った。
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