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ポテトのところまで50m足らずだ。
「ポテト!」
岩の上に寝っ転がっていたポテトが起き上がる。
「ポテト!あいつらだ!ポフを出して!!」
叫ぶハニーとその後ろでのそりと動き出した岩だったモノを確認して、ポテトが慌ててリュックを開けるのが見えた。
「イーロン、急いで!」と一瞬振り返ったハニーが激を飛ばす。
「でも、走りにくいんだ」
「そんなこと言ってる場合じゃないでしょ!!」
岩だったモノが二人を追って動き出すのを見てポテトが叫んだ。
「来てるぞ!!」
岩だったモノは次第に加速して、二人とポテトとの距離と同じくらいにまで迫っていた。
それを見てポテトも二人の方へドタドタと走り出す。
ハニーが「走ってぇ!」とこちらに来るポテトと後ろにいるイーロンに叫ぶ。
イーロンの耳に岩だったモノの唸り声が届く。
「ぼく、もう駄目かも」
「バカっいいから走るのよ!」
岩だったモノが腕を延ばせばイーロンに届いてしまいそうなところまで迫ったとき、たまらずポテトがポフのボタンを押して二人の方へ投げた。
ポフっ!
そんな気の抜けた音がして、ポフの周りに緑色の球体が浮かび上がる。
弧を描いて奇跡的に三人の中間辺りにポフが地面に落ちると、ドームのようになった。
ハニーは後ろに腕を伸ばし、イーロンの手を掴むと力を込めて引っ張った。
「うわっ!」
引っ張られた勢いでイーロンはドームに飛び込む。
そしてハニーも同じように飛び込み、その勢いを殺さないように前転するとそのままドームの反対側に飛び出してポテトの腕を掴んだ。
ドームの中で転がったイーロンが岩だったモノがジャンプしようとしているのを見て叫んだ。
「ハニー!!」
「分かってる!」と叫びながらハニーがポテトの腕を思いっきり引っ張り、自分もその勢いで振り向きざまにドームへと飛び込んだ。
「ポテト!重い!もう!ついてない!!」
ハニーはイーロンと出会った日のこと、そしてポテトにまんまと騙されたとこを思い出しながら、それを後悔するようにドームの中に身を投げ出した。
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