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何気なく。
本当に何気なくイーロンは振り返って後部座席に膝をついた。電車では絶対やってはいけない座り方。
そしてガタガタ揺れる後ろの窓からはるか遠く……。
「おばさん!!インディペンデンス・デイだ!!」
「えっ!?」
「インディペンデンス・デイみたいなでっかいのが浮いてる!!」
叔母もバックミラーでを見る。
しかしかなりスピードも上がっていた。砂利道の凹みでハンドルを取られて道路脇に落ちそうになるのを必死で避ける。
「イーロン!しゃがんでなさい」
イーロンは座席にしゃがむように屈んだが、目だけヘッドレストの横から出して揺れる景色を見ていた。
「インディペンデンス・デイからビームみたいなのが出た!!!」
その言葉通り、インディペンデンス・デイに登場した巨大な宇宙船の様な機体から真っ直ぐと光の束が地面に伸び始めた。
そしてそれが地面に達したと思われた頃、もうもうとした煙と共に光が地面を伝って広がり始めた。
「こっち来るよ!!」
「捕まって!!」
車が砂利道から飛び出し、バウンドしながらサイロへ目掛けて最短距離にコースを取った。
先程走っていた道から同じように数台の車がこちらへ向かうのも見える。
叔母はカースタントのようにサイロの手前でターンすると、すぐにドアを開けてイーロンを引きずり出した。
「さぁ」とは言ったものの、入り口には錠が掛けられている。
「おばさん、あそこ」とイーロンが上を指差す。
サイロの屋根に牧草の詰め込み口がぽっかり空いていた。
「はしごを登るのよ」
大人の背丈くらいから始まるハシゴにイーロンを抱き上げる。
「怖いよ……」
「大丈夫よ!」
イーロンは力いっぱいハシゴに捕まると身を引き上げた。
数段上り、下を見下ろすと叔母も横にあった木箱を台にして登り始めていた。
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