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「下を見ないで!」
「うん」
無心に登った。赤い屋根が青い空に映えていた。
あと数段というところでインディペンデンス・デイに目をやると、地面を伝った光は先程走っていた道にまで達していた。
最後に脇道へ逸れた車がすでに光に飲み込まれる。
「急いで!!」
「うん」
なんとか詰め込み口に手が届き、力を振り絞って登るとイーロンは振り返って叔母に手を伸ばした。
「おばさん!!」
光はイーロンの後から来ていた車を全て飲み込んでいた。
「はやく!!」
叔母の手がハシゴの最上段に届く。
光はイーロン達の車に達している。詰め込み口に登り切るには最後の一踏ん張りが必要……。
「イーロン」
おばが手を止め、優しい笑顔をイーロンに向けた。
「また、一人にしてごめんね」
そう言うと叔母はイーロンをサイロの中へ突き飛ばした。
「やーだーー!!!」
イーロンの叫び声がサイロに木霊しながら落ちていった。
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