297人が本棚に入れています
本棚に追加
「ったく、アリシアに変なことを吹き込んで」
「サディアスさんと仲良しなんだね」
オレウケの2人に似てるのもあるけど、お父さんとサディアスさん、すっごくイイ。
転生してから鳴りを潜めていた腐女子の魂が動き出すのを感じる。
BLの供給なんてないと思ってたこの世界で、イイモノ見せていただきました。
お父さんは複雑そうな顔で頭を掻く。
「サディとは長い付き合いなんだよ。学生の頃からバディだったから」
「バディ?」
「お父さんたちは騎士学校を出てるんだが、騎士は2人1組で行動を共にする。危険な場所でも助け合えるようにな。心に決めた相手と、生涯のバディとなることを誓い合うんだ」
生涯のバディ!!!?
なにその最高に萌える設定!
「まあ、生涯のって言っても解散するバディも普通にいるけどな。あいつは他に組む相手がいないのか、いつも俺にくっつかってて」
「えー、心外だなぁ」
いつの間にか戻って来たサディアスさんが、呆れたように言った。
「バディを決めるとき、誰にも相手されずにぼっちだったのは誰だよ」
「アリシアの前で人聞きの悪いことを言うな! あれはぼっちじゃなくて、俺についてこれるやつがいなかっただけだ」
「昔のアルは尖ってたからなー。お試しで組んだやつとケンカ別れしてばっかで」
「だからそれは……」
「だから俺が声掛けてやったんだろ」
サディアスさんがニヤッと笑ってお父さんの顔を見上げた。
言葉に詰まったお父さんは、ばつが悪そうにそっぽを向く。
尊い……!
ああ、久しぶりのこの感覚!
サディさんはきっとS、お父さんをからかうのが好き。
それでお父さんは強がりだけど実はヘタレな受け。
間違いない。
……はっ、いくら腐女子とはいえ父親で妄想するなんてそんなの道徳的にダメ。
いやでも、ここは異世界。アニメやゲームの世界のようなもの。
そこでイケメン2人が生涯のバディとか聞かされたらそりゃもう無理でしょう。
妄想するだけなら、いいよね。
最初のコメントを投稿しよう!