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「しょーがないわよ。美兎を傷つけた相手を八つ裂きにしたいくらいだけど」
「え」
「私も鉄拳制裁したいくらいだわ」
「ケイちゃん、物騒物騒」
あの頃と今は違う。夢に突っ走って、友達も満足に作らなかった美兎の過去とは違った。あやかしと縁を持ち、会社の先輩や同期と学生とは違っているが交友を持つようになってきた。
今までの自分が報われていなかったと、研修期間に火坑と出会わなければ今日のような日もなかった。それについては、素直に嬉しいと思える。
「……ありがとうございます」
だから今は、笑顔になっているかもしれない。
するとここで、マイバックを持って缶コーヒーを買いに行っていた火坑が戻ってきた。
「お待たせ致しました」
「だーいじょぶよ、大将?」
「きょーくん、ありがとね?」
「いえ」
受け取った缶コーヒーは熱々ではなかったが、程よい温もりが手をあたためてくれた。プルタブを開けて中身をのめば、可もなく不可もなく順当なブラックコーヒーの味だ。
「じゃ、俺のも食べて食べて?」
人気焼き菓子専門店、『rouge』の現役パティシエ手製の焼き菓子だ。絶対絶対美味しいに決まっていると、美兎はボックスに詰め込まれている焼き菓子に手を伸ばす。
まずは、ブラウニーバーからだ。
「ん!? クルミとかドライフルーツたっぷり!!」
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