3人の今・・・27歳

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3人の今・・・27歳

突然携帯電話が鳴った。 「もしもし?」 「もしもし、未知?元気?」 「うん、元気よ。久しぶり。どうしたの突然。」 「あのね、今度、福岡に行くの。その時、泊めてくれないかなーと思って。」 「うちに?」「まあ、いいけど、いつ?」 「次の金曜日」 「金曜日って、3日後? 突然だねー。」といいながら、未知は部屋を見渡す。あまりにもひどい状態だ。おそらく1ヶ月以上は掃除をしていない。困ったなあ。と考えていると、 「そういうことなので、また、連絡するね。」 「ちょ、ちょっと。」 「じゃあ、よろしくぅ。ばいばい。」 あっという間に電話は切れてしまった。何年ぶりだろう、りりかから連絡があったのは。なのに、まるでそんなことを感じさせないりりか。相変わらずだ。 ふー、3日後か。仕方ない片付けるか。 りりかからの電話があった後、未知は、なんだかんだ言いながら、りりかに会うことが楽しみになってきていた。心が弾み部屋の掃除にも専念できている。もちろん会社は休みではないので、夜中にせっせと掃除をした。おかげですっかり寝不足だが、それでも、ひどい様子をりりかには見せたくない。 4年か、5年、もっと経ってるかな。最後に会ったのはいつだろうか。そんなことを考えながら、今日、彼女を迎えに行く時間を確認しつつ、自分の身なりを鏡で前から後ろから横から入念にチェックした。たった2日で、どうなるものでもないが、顔にはしっかりとパックをした状態で掃除をしたのだ、寝不足ながらも、化粧ののりも悪くない。よし。部屋を出る前に、もう一度ざっとあたりを見まわす。なんとかなるか。 退社時間、珍しく後輩たちと一緒に入ったロッカールーム 「先輩、珍しいですね。定時に退社だなんて。」 「うん、ちょっとね。今日は友達と約束があるから。」 「へえ、彼氏じゃなくて?」 「じゃなくて。」 「ほんとうに?今日はなんか、上機嫌な感じだったし、てっきりデートかと。」 「残念ながら、彼氏なんていないから。」 「先輩って、男嫌いなんですか?」 「なんでそうなるの?」 「仕事もできて、美人だし、かっこいいし、私達からみたら、彼がいてあたりまえって気がするんですけどねえ。恋人より仕事が大事とか?」 「そんなんじゃないけど、まあ、男は面倒って感じかな。」 「わー、やっぱり、かっこいぃぃ。」 「あはは、じゃーね。お先。」 りりか、相変わらず美しい。会社を出る前、後輩に美人と言われ、ちょっとだけうれしかったが、この娘の隣にいては、とてもそんな言葉が恥ずかしい。 「久しぶり~」 「元気だった?」 「何年ぶりだっけ?」 「夏の結婚式以来だよね。」 ありふれた会話で始まり、食事をしようと馴染みのイタリアンダイニングのお店へ入った。 「急に福岡に?」 「そうなの」 「どこへ行くの?」 「よくは、わからないけどぉ・・・」 「えっ?」 「彼がね。えっと、福岡に出張だからって。」 「そういうこと。なるほどね、でも一緒じゃなくていいの?」 「あ、うん、彼は明日くるらしくって、で、せっかく福岡に行くんならって思ってね。未知に会いたいって。」 「ふふ、ありがとう。」 「最近の仕事は?」 「今は、バイトしてる。」 「そう、辞めたの?前の会社」 「まあねえ。なんかいろいろ面倒になっちゃって。」 「結婚するとかじゃなくて?彼と・・」 「しないよ。というか、できないし。」「彼、奥さんと子供いるからね。」「かわいい女の子だってさ。」 「・・・」 「驚いた?」 「うーん、まあ、どうかな。そんなでもないよーな。」 「ひど~い。意外と私だって悩んでるんですからね。このままでいいのかなあって。」 「そうなの?」 「当たり前でしょ。」 「りりかなら、美人だし、もったいないといえばもったいないよね。他にいくらでもいるでしょ、いい人。私たち、それなりに微妙な年齢になってきたしね。」 「そー、そー、微妙な年齢・・。」「けどさあ。なんか簡単には終わりにできないのよ。」「彼ねえ、それなりにお金持ってるし、美味しいもの、きれいな服、欲しいものが、結構簡単に手に入れられてしまうのよね。」 未知は、今の自分の生活を考えると、少し惨めな気分になった。 「我慢して働く必要もなくて、仕事も辞めちゃったの。でも、退屈だからとりあえずバイト始めたんだけどね。」
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