二人の迷い

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二人の迷い

久しぶりのりりかとの再開。未知はりりかの寝顔を見ながら、複雑な思いでいる。毎日、変わらずに仕事。必至で働いてきた自分。真面目に、与えられたことをこなしてきたが、最近、何かが違う気がしている。ここのところ、ずっとそんな思いが頭の中を回っている。 会社では既に何でも屋になりつつあった。残業することにも嫌な顔もせず、人の仕事も喜んで引き受けた。そうやって人に頼られることが未知は何より嬉しい。ただ、最近の若者は、といっても、未知だってまだ若い。にもかかわらず、年の差を感じている。表では、先輩すごーい、先輩かっこいいと言いながら、陰では笑っているのではないか?そんなに真面目にやってどうするの?と。 実際、ここでの仕事が、未知にしかできない仕事ということはない。このまま一生懸命仕事をしつづけたとしても、今以上のことができるようにはならないのではないか。そんな漠然とした不安が未知を苦しめている。 未知の勤め先は、輸入雑貨を扱う商社。企業グループの子会社であり、全国に支社があるとはいえ、九州は、関東や関西に比べれば小さく、未知が属しているのは、郊外のさらに小さな支店であり、同じ職場で働く社員は支店長を含め10人足らず。 翌朝、仕事に出かけるため、りりかと一緒にアパートを出た。りりかはこれから彼氏との楽しいデート。朝から重い気持ちで会社へ向かった自分とは全く違う。 一生懸命働いても、もらう給料ではそう贅沢は望めない。たまに頑張った自分にご褒美として何かを買おうと思っても、最近は、欲しいものが見つからなくなっている。満たされることのない自分は、欲することさえできなくなっていた。 女として何か欠けている気がする。彼のために、福岡まで飛んでくるような、そんなかわいらしさがあれば何かが違うのだろうか・・・。でも、りりかの話しぶりだと、旅費もたぶん自分では出していないのだろう。お金持ちの彼氏、不倫。いつの間にかそうつぶやいていた。 「先輩。どうしたんです?」 「ん?」 「いや、珍しくぼんやりしてるから」 「あ、うん、別に」 「あれですか?昨日の彼。会ってみたら、なんかちょっと違う~、みたいな。騙された的な?」 「だから、男じゃないって」
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