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りりかは、ずっと願っていたケイとの再会を果たし、今はすっきりとした気分になっている。追い求めてきた彼は、変わらないまま、私は必要とされないまま、何も変わらない現実を知る。
彼にしか感じられない特別な思い、それは恋でもなんでもない。ある日突然、自分の前から消えてしまったから、理由のない執着心。
やっと、自分の心に気づくことが出来た。会えて良かった。彼が、素敵な人で良かった。
「りりぃ。突然君を置いて、勝手してごめんな。」
「あの頃の僕は、どうしていいかわからなかったんだ。君は何も悪くない。」
「僕は、何もなく、なんとなく生きていた。」
「りりぃのことも、たぶんちゃんと見てなかった。」
「僕は彼女に会って救われたんだ。」
「寂しい時も、彼女に出会ったことで乗り越えられた。」
「彼女は、私の力じゃ無い、って言うけど、彼女が僕には必要なんだ。ずっと彼女が好きなんだ。僕はずっと彼女に夢中なんだ。」
そんなに、彼女の事が好きだって言えるって、なんてすごいことなんだろう。私が今まで付き合ってきた相手に、私はそんな風に言えない。
ただ、なんとなく楽しいから、なんとなく寂しいから、なんとなく告白されたから、いつもそんな感じだった。ちょっとかっこいい男の子に声を掛けたり、掛けられたり、どこが好きかなんてわからなかった。優しくしてくれるなら、それだけで、なんとなく時間を過ごした。
これから、私にも、あなたしかいない。そんな風に言える相手が現れるのかな。現れたらいいな。ちゃんと私を見てくれて、ちゃんと彼を見て、お互いが絶対に必要だと思える相手。
部屋に飾った恵斗の絵を眺めながら、彼を思い出すことが苦しくなくなり、新しい出会いを想像する。これから、きっと、訪れるであろう、本当の恋。そして愛する人と生きる人生。私、幸せになれるのかな。
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