出会い・・・17歳 りりか 夏 未知

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出会い・・・17歳 りりか 夏 未知

たまたま、席が近かったことがきっかけで、3人の女の子、安藤りりか、工藤夏、島田未知は、グループ学習をすることになる。 夏は、几帳面な性格で、常に計画をたて、その通りに物事を進めるタイプ。未知は、成績優秀な優等生。勉強にもスポーツにも手を抜くことはせず、努力を惜しまない。りりかは、どちらかというと目立ちたがり屋。いつの間にかいつもクラスの中心にいるタイプで、見た目はとても美しくキュートな女の子だ。 性格は、まったくといっていい程違うこの3人が、高校生活で、常に一緒にいるようになった理由は、いたって単純。それぞれの役割が上手にかみ合っていたからだ。 はじめての社会科での課題の時間。一般的な進学校とは違い、ただ受験のための勉強ばかりではなく、社会人になって役立つであろうと、グループ学習や発表大会、企画提案研修など、いろいろな授業枠がある高校だった。この時は、歴史上の人物について、グループで調べ発表するというもの。 夏が発表の日までのスケジュールをしっかり決め、的確な役割分担を行い、3人は始動した。りりかの笑顔はどんなところでも最高の武器。図書館でも、資料室でも、お兄さんもおじさんもとても親切にさまざまなことを教えてくれる。彼女は、人見知りということを全く知らない、すれ違う人はみんな知り合いだし、友達だ。調べてきた情報を整理し、まとめるのは未知の役目。几帳面な夏の管理の元、準備は万全。 発表の日、未知は、 「ふー、緊張する。」 たかが、授業の課題発表といっても高校生にとっては一大事。みんなの前で話すということは苦手な未知。それでも、まとめた未知が発表するのが一番いいと2人に言われ、躊躇し渋った未知だったが、最終的には、夏の仕切りで導入部分はりりか、大半は未知が発表をすることになった。 「では、はじめます。」 りりかはいつもの笑顔を絶やさず、未知の用意した原稿を上手に読み上げる。この日は社会の先生以外にも、担任や授業空きの先生が、発表の様子を見に来ていた。おそらく参加していた先生も彼女の笑顔の虜になっていたに違いない。それぐらい、高校生にしては、少し大人びた美しさとかわいらしさをもつ彼女。 未知の最初の一言は、緊張で少し声が上ずっていたが、後は見事としか言いようがないぐらい、スムーズであり、且つメリハリのある話し方で、授業に参加していた全員が彼女の言葉に自然と耳を傾けていた。参加した先生からも褒められ、未知は照れながらも、この日の発表をとてもうれしい経験として忘れることはなかった。
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