花の少女

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 数人でその男を抱える。  しばらくすると、男の腹のあたりの服が盛り上がってきた。  村人たちは何が起きたかとそれを見守った。  盛り上がりは服を突き破り、緑色の茎が姿を現したかと思うと、すぐに真っ赤な花を咲かせた。  村人たちは目を見張った。  腹だけではない。足から、首から、腕から、指から、ニョキニョキと茎がのび、色とりどりの花を咲かせたのだ。 「ヒイイイ!」  男を運んでいた村人たちは、思わず声を上げ、男を地面に落とした。  落とした地面からも、茎は生え、花を咲かせる。  まわりの村人たちも叫んだ。 「匕イイイイイイイイ!!!」  見渡すと、家の柱、屋根、壁、戸からもニョキニョキと茎が生え、花を咲かせたのだ。  それだけではない。  村人一人一人の足から、首から、腕から、指から、ニョキニョキと茎がのび、色とりどりの花が咲く。  紅顔の美少年も、うら若き乙女も、乳飲み子も、老人も。  耳の穴の中から、口の中から、目玉を押しのけながら。  赤、ピンク、黄色、紫と美しい花が咲き乱れる。  やがてあたり一面の花畑となった。
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