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プロローグ
『お前の全ては京様の物だ』
『お前は京様の気まぐれで拾われたんだ』
『轟家の繁栄こそが日本の繁栄だ』
『京様の下で働ける事を誇りに思いなさい』
『轟京様のために生き、轟京様のために死になさい』
私はそう言われて育ってきた。それがおかしいとも思わない。
轟家。それは古より一切表に出る事なく国を動かし、繁栄へと導いてきた名家だ。今でも莫大な資金力と各界への絶大な影響力を誇り、国を支えている。
次期当主である轟京様は二十八歳という若さでその事業のほとんどを引き継いだ。
私は五歳の頃に親に捨てられ、京様に拾われた。そして屋敷で京様のためになる人間になるよう育てられてきた。
拾われなければ無くなっていた命。この命があるのも全て京様のおかげ。そして京様のために働くという事は、国のため、たくさんの人のためになっているという事。
それが私の存在意義だ。
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