一、久野桃

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一、久野桃

 私の朝は早い。起きるのは京様が起床される一時間前、午前五時。まずは京様のスケジュールの確認と、世界の重大ニュースの確認。その後ジムのランニングマシンで軽く汗を流し、シャワーを浴びて身支度を整える。  その全てが終わったら手早く朝食だ。 「おはよーさん」 「おはよ」  使用人用の台所に行けば、既にたくさんの料理と共に朝の仕事を終えた同僚達が勢揃いしている。同僚と挨拶を交わしながらセルフスタイルでサンドウィッチと卵料理・ウィンナー・スープをとり、立ったまま食事を終える。ここまでで一時間。  そしてここからが勤務時間だ。 「入れ」  京様の部屋の扉をノックすると、短い返事が返ってくる。 「失礼致します」  広々とした部屋は床も壁もグレーで統一されている。中央には大きなソファーとテーブルが置かれ、奥にはキングサイズのベッド。全ての物が最高の品質だ。  京様はベッドヘッドに身を預けていた。  「おはようございます」 「ああ」  漆黒の髪に整った顔。筋肉のついた均整の取れた身体。まるで彫刻のように美しいその人は滅多な事では表情を変えない。  水のペットボトルをお渡しし、飲み終わったゴミはお預かりする。京様がベッドから出たら、何も身に着けていない背中にバスローブをおかけする。洗面所ではタオルをお渡しし、身支度が終われば扉を開けて朝食の場までお供する。
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