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4
左腕の中に彼女を包み込んで、柔らかな頬を右の手のひらで味わい、指で髪を後ろに流し、頭を支えながら甘いキスをする。
まだ完全に酔いの回っていない彼女の気持ちを大事にしたくて、すぐにその先までいきたい気持ちを我慢する。
美月は俺の右手を取って、自分の顔の前で広げて見ている。
「大きい手」
ラケットを毎日握っていた頃とは違い、今はタコもできてないけど、多分、男の中でも大きいと思う。
「美月の顔なんて、包めちゃうよ」
そう言って、彼女の顔に手のひらをくっつけるフリをすると、彼女は「きゃっ」と笑って顔を引いた。
彼女の左手には、赤い紐を編み込んだブレスレットがある。
「これも作ったやつ?」
「そうだよ」
アンティークのような、つや消しの花のモチーフを中心に、左右に一つずつ、レッドアイだろうか、赤黒い石が通されていて、細かく編んだ紐が裏側まで伸びている。
基本は『マクラメ編み』というやり方なのだそうだ。売り物になるまでに、しばらく練習した、と言っていた。
きっちりと編み込まれたところは、彼女の性格を物語っているように見える。
ビールを飲み終わっても、彼女の目はまだ少し迷いを残していた。
「ワインは?」
「冷蔵庫」
彼女は身体を起こし、マットレスから降りると、俺の手を引いて冷蔵庫の前に行く。
ドアを開けて、赤ワインを出し、シンクの上の棚からワイングラスを一つ取ると、その場で注いだ。
俺に飲むように差し出す手を無視して、腰を抱く。
「美月が飲んで」
そう言うと、彼女はそっとひと口飲んだ。
「酒は強くないの?」
飲み方で予想はしていたけど、彼女はコクリと頷く。
「分かった。じゃあもっと早く酔っ払え」
彼女の手のグラスを受け取り、口に含むと、そのまま彼女の口につけた。
意味を理解した彼女が、少し口を開くと、その中にそっと流し込む。
喉がコクンと鳴ると、そのまま唇を食んだ。
身体が無意識に離れそうになるのを、腰を抱いて逃げないようにして、またワインを流し込む。
シンクにグラスを置いて、顎を持ち上げながら深いキスをする。
そうやって、合間にキスをしながら、ワインを飲ませた。
グラスのワインがほとんどなくなると、もう我慢できなくなって、舌で唇を割って彼女の舌を追った。
存分にワインの味を感じて顔を離すと、彼女の口から吐息が漏れた。
「2階にいこ?」
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