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そういう美月の身体を追って、もつれ合いながら、あちこちの電気を消し、階段に向かう。
少し力の抜けた彼女の身体を支えながら、ゆっくりと階段を登る。
階段を上がりきると、彼女は壁に付いている電気のスイッチを押した。
吹き抜けの横に廊下が伸びている。2階のフロアは、1階の半分くらいの広さだった。
突き当たりの半円部分は1階と違い、アーチに合わせて作り付けのソファがあった。
右手の壁は全部クローゼットになっていて、左の壁側にはドレッサーとベッド。
言ってみれば、これが彼女のプライベートスペースだ。
ふと、彼女の相手もここに来たことがあるのだろうか、と思った。
そんな気持ちを察したのか、少し頬に赤味を帯びた彼女が、俺の首に腕を回し、目を見て言った。
「光星が、ここに上ってきた初めての人だよ」
そう言って、キスをしてくれた。
彼女の唇を啄みながら、自分のワイシャツのボタンを外し、肩から落とすと、ついでにランニングも脱いだ。
そうしておいて、俺の首に掴まったままの彼女の、柔らかなワンピースをたくし上げ、頭から抜き取る。
細い腰を抱き、Tシャツの裾から手を入れて肌に触れた。
無意識なのか、彼女の身体がちょっと強張ったように感じた。
「…美月、好きだよ。今でも大好きだ。だから大丈夫だよ」
ふいに出た言葉は本心だったけど、何を言ってもきっと、嘘っぽいか、本当か、自分にも彼女にも分からないと思った。
何が大丈夫かも分からない。どんなことになっても、責任はとるつもりだったけど。だから思いつくままに口に出した。
「…私も、好きだよ。光星が好き」
キスの合間に、背中に手を入れ、下着の留め具を外すと、Tシャツと一緒に脱がせた。
柔らかい夜間照明の下で、彼女の白い身体が浮き上がって見える。
黒髪を纏った細い肩、華奢な鎖骨と小振りな胸の膨らみが、なぜかとても神聖なものに見えた。
「…やっとだ」
その身体を抱き上げて、目線を同じ位置にし、ちゅっと唇を合わせるとベッドの上にそっと倒す。
「やっと、美月を抱ける」
耳たぶの下に唇をつけると、彼女の口から甘い吐息が漏れた。
さっきまでとは明らかに違うその声に、彼女の期待感を感じる。
信じられないほど、自分が落ち着いているのが分かった。
どうすれば、美月を喜ばせることができる?
そのまま首筋を唇で愛撫し、手は肩を撫で、下へと下がっていく。
柔らかな胸の膨らみに触れたとき、冷静だった自分がはじけ飛んだ。
美月の全部を、自分のものにしたい。すみずみまで愛撫して、俺の記憶を植え付けたい。
それでもう、何も考えずに、彼女への想いに溺れることにした。
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