510人が本棚に入れています
本棚に追加
次の訪問日までの間、昼間の営業回りをしながら、美月とメッセージをやりとりして、いろんなことを話した。
仕事のこと、社会人になった頃のこと、今の生活のこと。
5年前に、彼女のお父さんが癌で亡くなったそうだ。
それで、物の見方や考え方が大きく変った、と文字で言っていた。
人の一生は、長いようで短いこと。
また会いたいと思う人がいて、いつか会いにいけばいいと思っていると、会えずに済んでしまう、ということ。
今の家は以前、いろんな撮影とかでスタジオのように使われていた場所だったこと。
でも使われない日が増えてきて、空いていると荒れてしまうので、普通に住む人を探していた。
自分にとっては大きな出費だけど、とても満足している、ということ。
彼女は普通に、子どものことや結婚話も聞いてきた。
だから、離れていた友達に近況報告をするような気持ちで、ありのままに答えた。
子どもの写真が見たい、というので、最近のものを送ると『可愛いね、目が似てる』と返事が来た。
気になるのは、彼女の相手のことだった。
『彼とは連絡取ってるの?』
『まあ、それなりに』
『どんな人?』
『普通の人だよ』
『俺だって普通だと思うけど?』
『そうだよね(笑)。子どもの頃の環境で、何カ国語かしゃべれるんだって。だから会社から重宝されているみたい』
『見た目は?』
『どちらかというと細身で、眼鏡掛けてる』
体育会系の俺とは正反対らしい。
『いつから付き合ってたの?』
『彼が赴任する2ヵ月くらい前から』
『そうなんだ』
なんか彼女の中に男の影をあまり感じないのは、付き合った期間が短いせいか。
…そんな関係でも、結婚するんだね、とは聞けなかった。
最初のコメントを投稿しよう!