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――――苦しい、息ができない…。
なんだよこれ、目が開かない…!
も、もう息がもたない…っ。
「か、かはっ…!」
ようやく目を開けることができ呼吸も可能になった瞬間、ノアは見知らぬ部屋にいた。ベッドの上にはいたが、先ほど寝っ転がっていたものとは全く違うものだった。
「はあっ…、はあっ…」
鼻からは血がつたっていた。
ノアは何が起きたのか理解できず、パニックになった。
「ど、どこだ?ここ……」
周りを見渡すとひと昔前の貴族のような豪華な部屋だった。
「死ぬかと思った…。はあっ…はあっ…」
ガチャッ。
ドアが開く音がした。恐る恐る振り向くと、一人の少年と目があった。
「な、な、ななな…!!」
ノアを指さして固まっている。
「なんだおまえぇえ!!!?!」
少年に驚かれたノアはふと冷静に自分の状況を客観視した。
鼻血を出しながら彼のであろうベッドで倒れ込み、呼吸を荒くしている不審な男。
「違うんだ、待ってくれ、誤解だ」
少年はとっさに壁に立てかけてあった槍のようなものを手に取り、身構えた。
「ち、近づくな!近づいたら串刺しにしてやるぞ」
「頼むよ、わかってくれ、そういうことじゃないんだ」
「おまえの気持ちなんか理解したくない―――!そ、それにな、僕は…女だ!!」
「え、お、女の子…!!?」
「今まで王子のフリしてたけど女だ!!だ、だからおまえの恋愛対象じゃないぞ、残念だったな!!ふ、ふはははは!!」
「お、王子のフリ…!?王子って…」
「ルイ王子どうかされましたか!」
そうこうしているうちに兵士のような恰好をした者達が駆けつけてきた。
「なっ…!!?お、お…っ!?!」
鼻血を出したノアを見て兵士は状況を理解するのに必死だった。
「不審者だ!こいつをとらえろ!」ルイはノアを指さす。
「る、ルイ王子から離れよ!!…こんの、不届き者めがあぁああ!!!!」
「う、うわあーっ!」
剣を引き抜いて突進してきた兵士を見て、ノアはとっさに窓へ走った。
「くそ、いちかばちか窓から逃げるか…っ」
窓から顔を出し、固まるノア。
下を除くと十数メートルの高さだった。
「ちょっと待ってくれ」
ノアは駆けつけた兵士たちにあっけなく両脇を抱えられた。
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