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ーーー
理事長室に着いた。生徒とすれ違うことはなく、無事に来ることができた。
まぁ一言も会話はなかったんだけどね〜
コンコン「坂本です。転校生連れてきました。」
どうぞの声で扉を開ければ視界の隅を黒い物体が動く。梓馬が理事長に走りだしたようだ。
「久しぶり!透さん!!」
梓馬が理事長に抱きつく。抱きつかれる衝撃や近距離での大音量を聴いた理事長は少し眉を寄せている。でも、口元には笑みを浮かべているため、大人だなぁと思う。
「なぁなぁ、透さん!!コウは?コウはいないのか!?」
「まぁまぁ落ち着いて梓馬くん。
あ、坂本くん、ここまでありがとうね。あとは大丈夫だから教室に戻っていいよ」
うるさい梓馬を相手にしながらも、こちらを気遣って退出を促してくれる。
ここはお言葉に甘えて〜
「わかりました。では、失礼します。」
廊下にでると理事長室から「だから!チカゲって呼べよな!」って声が聞こえる。
嘘だろ、外まで声が聞こえるのかよ…どんな声帯してんだ?てか、理事長は大丈夫なんだろうか…?
まぁ理事長のことを心配はするが、もう梓馬と関わりたくないので、足早に教室にへと向かう。
ーー
教室へ来れば休み時間らしく、皆友達と談笑している。
「シオン遅かったね!何かあったの?」
「あぁ、ちょっと転校生を迎えに行っててね」
そう言うと、ミツキは分かりやすく衝撃を受ける。
「え、え?て、転校生?あれ、だってシオン、転校生明日だって…」
「嘘だよ。言ったら絶対見に来ただろ。わかってて言うわけないだろ」
「あれ?でもあの人は入手次第って…え?」ミツキは一人でブツブツと呟き始める。ほっといて席に座っていると、授業が始まる時間になる。
が、いくら待っても先生は来ない。
「おい、ミツキ。次の授業ってなんだった?」
「ん、え、あぁ、次は国語だけど城崎先生は自習だって」
いやいや、いくらなんでも二日連続自習はダメだろ。
なんて考えていると、教室のドアが開く。そこにある姿を見て、クラスは一瞬にして静かになる。しかし、教師が来たワケではない。
このクラスで姿を見せただけでクラスを静かにできる奴は一人しかいない。
「よぉ、珍しいなマサ、こんな早くに来るなんて」
「…」
うわ、コイツ無視しやがった。はーこれだから低血圧くんはヤダね〜
「あ、ごめん!マサの席勝手に使ってた!」
ミツキが席から立つと、マサヤは座り、寝る体勢になる。
「おい、俺の目の前で寝るんじゃねぇ」
「るせぇよ副会長」
寝ようとしているコイツは 錦戸 雅也 。所謂一匹狼だったコイツは俺とミツキにより、ぼっち(w)ではなくなった。俺の元同室者のサボり魔だ。
「昨日から知らない奴の荷物が置かれて寝れなかったんだよ」
「いや、自分のナワバリに知らない匂いがする動物かよ」
ほう、コイツは今まで一人部屋だったが、梓馬が来たおかげで相部屋になったらしい。
「頑張れw」
「チッ」
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