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⑧本番
「ラジオ部!」「…ラジオ部!」
直哉は2人の声が数秒遅れたのを聞くと、カフを上げ、BGMを流す。
「こんばんは、月村一也です。」「こんばんは。西澤祐政です。」
軽快なBGMをバックに一也と祐政は自己紹介をした。
「さて、時刻は22時を過ぎました。今回からスタートします。僕と月村さんのラジオ『ラジオ部!』。これから毎週土曜日の1時間、僕らのラジオをよろしくお願いします。」
祐政はガチガチの声で用意された台本を読む。
「緊張しなくてもいいですよ。」
その落ち着いた声を聞き、祐政は正面を向く。一也の顔は穏やかな表情でふふっと微笑んでいた。
その笑顔に緊張がゆるんだのか、祐政は笑みがこぼれる。
その後、自分の髪型のこと、好きな音楽のこと、お笑いのこと、ゲームのことなど祐政は“ある事”を多くのことを話した。それを一也はうんうんと頷き、たまに「そうなんだ!」や「楽しそう!」とリアクションしながら彼の話を聞いていた。
2人の会話が弾む中、しんみりとしたBGMになる。エンディングの時間になったのだ。
2人は慌てて、台本をエンディングのページにする。
「エンディングです。現在、僕のシングル…。」一也は自分の作品などを宣伝すると、祐政の方を向く。
「西澤さん、どうでした?」
一也の突然の質問に祐政は目を見開き、少しあたふたする。
「た…楽しかったです!」「よかったです。僕も楽しかったです。」
祐政の焦るような大きな声にも動揺せず、優しい笑顔と声で一也は答える。
これに、祐政もつられて笑った。
そして2人は終わりの挨拶をする。
「ここまでのお相手は月村一也と」「西澤祐政でした。それでは、また来週!」「さよなら!」
2人は時間いっぱいまでカメラの前で手を振った。
「はい、2人とも、お疲れ様でした!」壁に飾ってあるデジタル時計が【23:00】になって10秒後、直哉の声が部屋の中で響く。
こうして、初回の「ラジオ部!」は終了した。
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