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クール様も行っちゃったし、どうしようかしら。
私が話相手をするまでもなく、出席者は通訳を連れてきてるし…。
私、やる事ないよね?エドワードが私を探る為だけにここに呼んでるんだから…。
まわりは私を見ると、コソコソと何か話してるのよね。明日になれば凄い噂になってるわね。これは…。尾ひれがついて『シャロンの後がまが現れた!』…みたいな面倒な噂よ。
これで伯爵に迷惑がかかる事になれば、そく教育係をやめなきゃ駄目じゃないの…。
はぁ…私が知ってる誰かって一体誰なのかしら。
私が知ってるんじゃなくて、相手が知ってるだけなのかも…。
う~ん。
今日はクリフも近づいて来ないし、逆に怖いわ…。
「お嬢さん、いっしょに踊って頂けませんか?」
ヒョロっとした男性が私に声をかけてきた。
「…ごめんなさい。先ほど転んで…足を痛めてしまったの。」
『次は自分が…』という人が何人も見えるからわざと大きな声でいうのがポイントよ。
1人踊ってしまえば次々と押し寄せてくるもの。
エドワードの特別な人ではないけれど、近付いておくのは悪くない…ってね。
ところで、私を連れてきた男は何をしているのかしら…。ぐるっと見渡したけど……いないわ。
どういう事!?途中退場とかじゃないよね?シャロンが来たとか?
声もかけずにいなくなるって、有り得ないよね!?…さすが、2ヶ月も私を放置していた男!マナーの悪さも超一流じゃない!
…帰ろう。って、私個人の問題ならそうするけど…。ラドクリフ伯爵夫人の侍女という肩書きが…。
「はぁ…」
私はなんの為に……って見つけたわっっ!私の知ってる人。クール様の側にいる眼鏡の人。地質学者の人よ…。何度か家に来ていたのを憶えているわ。
あの人って有名人なの?
クール様も流石にあの人は知らないよね。仕事じゃなくて、お父様のお知り合いだもの。
これはピンチだわ…。
何故あの人が招待されているの…?
何でもいい、向こうが気が付かないうちに逃げなきゃ…
見つかったら監禁が待ってるわ…クール様でさえ『そんな事はない』って断言出来なかったのよ。結婚させられて自由がないなんて嫌よ!
少し離れようとした時、誰かが私の腕を掴んだ。
っ誰よ!邪魔しないでっ!
「…何かご用ですか?」
腕を掴んだのは、でっぷり肥えたおじさん。
「ああ、エドワード殿下とどのような関係なのか教えてほしくてね。」
「…申し訳ございませんが、名を名乗る事もなく質問するなど、失礼ではありませんか?」
やっぱり来たわね。この手の下衆な男。言いたい事はだいたい解るけれど、ラドクリフ様の評価にも繋がるし、さっさと逃げよう。
「生憎、侍女に名乗るような名は持ち合わせていないのでね。」
「ふふふ、そうですか。私も特に貴方を知りたいとは思いません。では、失礼致します。」
今は一刻を争うわ!
誰にも見つからないように!!クール様が1人になるのをまって、相談しよう!
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