宮下飴

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宮下飴

「お母さん!お母さん!これ買って!」大声で、欲しいものをねだっていると、「置いてくからね!」そう言われて、お母さんはこっちに向いてくれなくなった。いつもいつも、お家でいる時は、一人ぼっち。 お母さんが機嫌が悪い時は、すぐに寝ちゃて起こそうとしても、逆に怒られてご飯も食べさせてくれない。 でも、今日はなんだか機嫌がいいみたい。オシャレな服を着て、メイクして いつものママじゃないみたい。 それに、ちっちゃい服を見たり おもちゃだったり見たりしている時 お母さんが、見たことないような笑顔で、物を眺めてる。 私はとても嬉しかった。起こっているママよりも笑顔で、優しいママが大好きだから。でも、調子に乗っちゃて 「おもちゃほしい」なんて言っちゃたから、頭から角が伸びて後のことはあんまり覚えてないけど、とっても怖かった。お父さんは、お仕事でどこかに行っていて帰っこない。 悲しいよ、怖いよ、助けてよ、ずっーと思っていた事が、我慢していた自分の口から飛び出した。 「こんなママ居なくなればいいのに!!」大声で言ってしまった。お母さんは、何も言わず扉を閉められたことにより、幼い自分でも分かった。 家から追い出されてしまったことを。
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