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父さんの手が俺の髪をぐしゃぐしゃと撫でた。
「お前、・・・そうか・・俺みたいになりたかったのか・・・うへへへ。――――――聞いたか?怜。こいつ、俺に憧れてたって・・・やべぇな、クソ可愛いじゃねぇかコノヤロー」
・・・!!
え・・・。”思っていたりする。”と締めたはずだぞ、俺。・・・な、なぜだ・・。
テレパシー・・?まさかの心の声盗聴?―――――と思ったら、どうやら全て声に出ていたらしい。
あー・・真人さんのことでパニックになって、いろいろ制御できなくなってるみたいだ。
目の下が滝みたくなってるし。鼻も弛んだ蛇口状態。―――――あー、俺ばっちぃ・・。
父さんの若干壊れた言動に苦笑していた怜兄ちゃんが、何か思いついたように「・・あ!」と叫ぶ。
「真人君の働く場所に近い大学に行けばいいじゃん!」
・・・簡単に言うなよ。そんなの俺だってとっくの昔に思いついてるし。つーか、そんなの無理。だって何処で働くかなんて入ってみなきゃわかんないんだもん。
「・・・無理なんですー。そんなバクチみたいな進学できませんー」
不貞腐れたようにそう言い返せば、上機嫌な父さんが携帯を弄り出した。
まぁまぁパパに任せなさい。とか、すげぇニコニ・・・ニヤニヤ笑ってる。
何かを企んでいる顔だ。―――――――俺たち親子はこの表情が一番よく似ているらしい。(怜兄ちゃん・真人さん談)。・・・フクザツである。
「―――――瀬能です。・・・どうもどうもー。―――――えぇ変わりないですよ。そちらは・・?―――――ははは、そうですね。次の休みにでも、と思っていましたから。・・いや実はですね、ちょっとお聞きしたい事がありまして・・・。――――――おっ!よくわかりましたね。そうなんです、その件で・・・。―――え?それは決定ですか?―――ほぅ、本人にはまだ伝えてない・・・。―――――わかりました、じゃあ知らなかった事にしておきます。――――――ハハ、そうですね、これ以上のサプライズはないでしょうね。――――――いや、お忙しいところ申し訳ない。・・・はい、ありがとうございました。―――――――――――――耀!」
父さんが、キラキラした目で俺を見た。・・・なんとなく、電話の相手も内容も、わかってしまった気がする。――――――デジャヴか・・?前にもあったなこんな事。
「――――また、椚さんに電話した?」
「ハハ。したした。それがよー―――――」
「・・・配属先、聞いちゃった・・とか?」
「ビーーンゴ!!――――――知りたいかね、耀くん?」
――――ふざけてる・・・。本人より先に情報を手に入れるなんて・・・そんな・・そんなことって・・・!!
「・・・ッ!ちくしょうっ、パパさまっ!――――グッジョブb」
――――――俺、数年ぶりに自分から父さんに抱きついちゃった。(テヘ☆)
椚さんは霞さんに甘い。彼のためなら会社の方針なんて平気で覆せるのだろう。・・・うん、タイプは違うけど、強引さはウチの変態パパといい勝負かも。
・・で。椚さんは霞さんに頼まれていたらしい。
“できれば真人君を遠くに配属してほしくないな・・・”
―――きっと、ちょっぴり目をウルウルとかさせて、甘えるように言ったんだ(←俺予想)。
んで椚さんは即答だったに違いない。
“大丈夫だよ、霞。真人君は本社勤務にするから☆”―――――――・・・みたいな?
あー、暑苦し。
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