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なに?とあおいが聞き返した。ケンザキがとてつもなく阿呆なのは皆が知っているけれど、今回に関してはずば抜けて意味が分からない。
「お前ちょっと小説書いてくれよ」
「いやいや、意味分かんないって。やっぱり頭打ったんじゃないの?」
ケンザキは先日原付バイクでゴミの山に突っ込み、肋骨にひびが入って通院中だ。
「お前ついでに頭の中も見てもらえよ」と言ったのは当然キリオ君で、今はカレーの仕込みに忙しい。
「なんでやねん、俺は完全に正気や」
「お前の正気は俗に言う狂気や」
とっつぁんが混ぜ返す。
「小説ってなんの?」とみとさんとさゆりさんが興味深そうに口を挟む。
「そうやな。高校生の女子が入院してな、なんか色々悩んだりするけど最終的にうまくくるくるっとまとまってハッピーエンドみたいなやつ書いてくれ」
ケンザキがあおいに向き直る。「お前文章書くの得意やろうが」
「いやいや私が書くのは小論文とかであって小説ではないよ」
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