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男がほれよ、と投げてよこした紙の束をツカサはしげしげと眺めた。
「なんですか、これ?」
「何って、小説やんか」
ただの小説ちゃうぞ。お前が主人公の、この世に一冊しかない、正真正銘のオリジナルや。とても得意そうに言う。
「あなたが書いたんですか?」
「そんな訳ないやろ」
ですよね、とツカサは手に持った原稿用紙を見下ろした。正直、嬉しいのか嬉しくないのか良く分からない。それでも、ツカサは丁寧に礼を述べた。
「いいってことよ」
男が嬉しそうに笑った。
全く、ケツ毛の次は小説だなんて。よくそんなバカみたいなことを次から次へと思いつくもんだ。しかも、パッと見た感じ、小説というよりは、小学生が一生懸命に書いた感想文というレベルだ。
あほくさ、とツカサは呟く。思わず笑ってしまう。
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