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上司として冷徹にふるまわねばならないのにどうしようもなく恋心に身を焦がしたこともあった。解放し――認めてくれたのがあいつだった。唯一無二のおれの女神――紘花。
流行っている店でケーキを三個買い(おれは持ち帰り用のアイスにしておいた)、紘花にメッセを打つ。――ケーキ買って帰るから。
すぐに返信があった。
『うん。楽しみに待ってる。ダーリン』
『ちょっときわどいの履いてます』
ふ、とおれは笑った。――幸せは、誰が手に入れるものでもない。自然と向こうからやってくるものだ。こうして、当たり前の日常を失ったいま、いままで当たり前のようにそこに存在した――誰とも接せられる自由。どこにでも行ける自由――を失ったいまだからこそ見えてくるものがある。
それを、大切に、大切に、守り抜きたいと思う。大好きで、愛おしいひとたちと共に。
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