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佑成さんが素肌だということを忘れてべチべチ背中を叩いてしまえば、「痛い」とちょっと睨まれた。目を細めたその表情がなぜか婀娜っぽく、視線を奪われて、熱いところがギュっと鳴く。
短く息を吐いた佑成さんが眉を顰めて「朔」とあたしを抱き寄せる。あたしも佑成さんに抱き付くと、柔らかい髪が首筋に触れて、それだけでゾワゾワした。
「ゆ、せいさん」
涙が浮かぶのは、気持ち良さだけが理由ではないんだろう。
佑成さんと出逢えてよかった。好きになってよかった。好きになってもらえて幸せだ。生まれてきてよかった、なんて大袈裟なことを思うけれど、心の底から感じた想いだった。
佑成さんと出逢うことは、18歳のあたしが思い描いた理想の中には含まれていなかった。
佑成さんが優しくあたしに口付ける。強く腕に抱いたまま、ゆっくりと深いところを刺激する。その度に佑成さんを離したくないと、あたしの心も身体も強く佑成さんを求めた。
「……朔」
「ん、……っあ、ゆ、うせ、」
佑成さんの全部が温かった。どんなあたしも受け入れてくれた。
佑成さんはあたしを突き放さない。どんなに弱い姿を見せても、惨めで情けない顔を見せても、あたしが1人で全部を背負わないように寄り添ってくれる。
愛されていた。愛されていると分かった。
両親以外からもあたしは愛してもらえるんだと思うと、涙が止まらなかった。
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