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小さく苦しそうな声を漏らして、佑成さんは微かに身体を震わせた。ギュウっと佑成さんの腕の圧迫に目を閉じると、熱い息が肩にかかる。
「朔」
「……ん」
湿った唇に佑成さんの柔らかいキスが落ちる。チュ、と音を立てながら啄むように口付けた佑成さんはそっとあたしの頭を撫でた。
少しだけ瞼を開くと、すぐ近くに佑成さんの整った顔がある。じっと見つめられるから、黙ってその瞳を見つめ返していれば、佑成さんは目元を柔らかくして。
「可愛いな」
「……な、」
両手に指を絡ませて、佑成さんは思いがけない言葉を吐いた。
「可愛いよな、朔」
「……いきなり何言い出すんですか」
「初めて会ったときも普通に可愛い子だと思ったけど、なんか普通じゃない気がしてきたわ」
「……意味分からないこと言わないで早く、その、」
チラチラと視線を下方に向けると、佑成さんは「ああ」なんて思い出したかのように腰を引こうとして、なぜかまたあたしに顔を近付ける。
「もう1回するか」
「やっ、でも、明日がありますので……」
「……」
「も、物足りたいんなら、く、口でしましょうか?」
あたしなりに真面目に言った言葉に佑成さんは「何言ってんだよ」と眉根を寄せた。
「すぐそうやって性処理に回ろうとすんな」
「え、だって、」
「嫌ならちゃんと断んの。無理に頑張ろうとすんなって」
「……佑成さんがもう1回したい雰囲気出すから」
「冗談だよ。ちゃんと断れるか試しただけ」
「……そうですか」
ポン、とあたしの頭に手を置くと、今度こそ佑成さんは身体を起こした。
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