4.雷竜の子

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 ガラガラガラ!!!  一際大きな雷鳴が鳴り響き、俺はタミヤの手元から離れてしまった。 「ルオ様っっ!!!」  轟音が響く。  ドーン!  眩い光が辺りに炸裂したのを感じた。  一瞬後は、夜のように暗くなる。  強い風と雨の中で。  きりもみ状態で降下していく。  昼と夜が明滅するかのような激しく瞬く光。 「タミヤ!!」  墜ちていく中で、俺は確かに従兄弟(いとこ)のアールンの気配を感じた。  目を開けると、花の上に寝転がっていた。  一面にきらきら光る花が咲いている。青く輝く結晶のような、五弁の花。  この花の輝きが、全体を青く見せるのだろう。  花々の上に小さな生き物たちが飛んでいる。妖精だろうか。小さな人型に薄く透き通った羽。  青い花に妖精たちが舞う姿は幻想的だった。  俺は、人の姿に戻っていた。  アールンが1日3時間なら人の姿になれるって言ってたなあ。  嵐の中で人になりたいと願ったんだろうか?  タミヤ達はどこに行ったんだろう?  久々に人の姿に戻ったので体が痛む。  伸びをしながら起き上がり、痛めたところがないかあちこち確認したが、大丈夫なようだ。 「なんか⋯⋯すごいところ⋯⋯」  切りたった山が遠くに見え、山上に光り輝く塔が立っている。  どこもかしこも、大地から透明な水晶が生えている。あの塔も水晶なのかもしれない。  ふと見ると、妖精たちが群がっている場所があった。  青白い光が強くなっている。  近づいていくと、花の妖精たちがさっとよけた。  そこにあったのは、一つの銀色の卵だった。  大人の男が腕いっぱいに抱えるような、大きな卵が転がっている。  そして、その卵は仄白い光を帯びていた。 「え、これ、もしかして⋯⋯」  俺はその場に跪いた。  卵がカタカタと細かく震えだす。 「俺は冒険者じゃないからよく知らないが⋯⋯。これは話に聞くあれじゃあ」  卵にそっと手を差し伸べた。  卵の周りに漂う淡い光に触れると、びりりと手がしびれる。 「雷⋯⋯!」  アールンが腕にはめてくれた金と黒の糸の腕輪がふわりと光った。 「ゆっくり、ゆっくりだぞ⋯⋯」  俺の言葉を聞くように、卵の震えはぴたりと止まる。そして、ぴし!ぴしりと亀裂が入った。
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