短編 ただの音楽バカにはなりたくない

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「基礎合奏やります」 「「「はいっ!」」」  お腹から出されるはっきりした声が、ズレることなく部屋中に響き渡る。 「ロングトーンやります」 「「「はいっ!」」」  私の指揮に合わせ、全ての楽器が同じ音を伸ばし始めた。 「今日はいつもより暑いので音が合わせにくいですが、チューニングの時点で、合わせづらい音を把握しておくようにしてください」  私はサックスなので、楽器によってどれくらいの違いがあるかは分からない。クラリネットやオーボエが特にそうらしい。  いつもチューニング大変そうだしね。  そう言うと、キーボードのボタンを長押ししてメトロノームのテンポを変えた。
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