足りないモノを君に求めてしまうけれど――。

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「おやおや、レプレさんは大きいのに泣き虫なんだねぇ」 老女がそう言い、レプレは笑顔を見せる。 「さて帰ろうかね、レオーネ」 「うん!」 レオーネは嬉しそうに老女と手を繋ぎ、余った手でレプレの手を取ってくれた。 「さ、レプレさんも一緒に帰りましょう」 「あぁ……っ、はい」 幸福という名の絵画に落ちた赤い絵の具は、いつかこの絵画を赤く汚してしまうのではないかとレプレは言い知れぬ恐怖を抱く。それによってレオーネはレプレの事を忌み嫌うようになるかも知れないと。 それでもレオーネは特別な子だから、赤い絵の具を別の色や絵に変えてくれるのかも知れない。それにはきっと並々ならぬ努力が居るだろうが。 「レプレの部屋は僕の部屋と一緒ね?」 「うん、良いよ」 「明日は何処かに遊びに行こうね!」 「そうだね」 「レプレ、大好きだよ?」 「私も、レオーネが大好きだよ」 「これからはずっと一緒だよね?」 「うん。もう離れないよ――……絶対に」 四つの影が並んで伸び、夕暮れの街を通り過ぎて行った。                END
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