***

3/12
前へ
/12ページ
次へ
高校生になった私に、容赦ない現実が毎日毎日襲いかかる。 こんなにも好きな人が従兄という現実。 でも、だからといって、好きになる事は止められない。 好きになる事が止められないという事は、苦しくて苦しくて死にそうな事。 そして、誰にも言えない… 本気で愛する人が近所に住むいとこのお兄ちゃんだなんて。 だから、夢を見る事をやめようと思った。 それが十年前の話。 私は十六歳、結太が十八歳の冬だった。 そんな時、私は結太の涙を見てしまった。 兄弟の中で一番頭が良くて、国立大学の受験を控えていた結太。 以前から体調を崩していた伯父さんが、長期療養で入院を余儀なくされた。 結太は大学受験をあきらめた。 お父さんのため、家族のため、蕎麦屋に専念する事に決めた。 それは悲しい決意。 結太は私の胸の中で泣いた。 そして、私もその時に決意する。 結太は私が守ると…
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

64人が本棚に入れています
本棚に追加