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 僕には彼女がいる。  付き合う事になったきっかけはただの流れで、なんとなくだった。  周囲に流されるままに「つきあってみる?」「じゃあよろしく」っていうのが始まりだったかな。  我ながらしまらないシーンだと思うよ。  今の僕が過去の僕にあったなら、「何でそんなかっこ悪い付き合い方したんだ」ってぶん殴ってやっただろうね。  で、なりゆきで付き合った彼女だけど、いまはもうベタ惚れ。  彼女なしの人生なんてきっと考えられないよ。  彼女の心が優しいって気づいた時の事は今でも思い出せる。  彼女の中にある力強い信念を目の当たりにした時の事も。  彼女の魂に根付く正義感が発露した瞬間の事や。  彼女の心の底に眠っている母性に気が付いた時の事も。  そして、彼女の笑顔の魅力。  デートの時に。  日常で過ごす時に。  ふいに蕾が花ひらく様に笑いかけてくる彼女。  僕はたちまち彼女の笑顔のとりこになった。  あれ以上の素晴らしい物なんてこの世にはないんだ。  だから僕は、彼女が笑顔でいられるように努力する事にした。 「ひぃっ、助けてくれっ!」  彼女をいびる人間を排除して。 「お金ならなんでも出すからっ!」  彼女をつけ狙う不埒な輩を成敗して。 「命だけはどうかっ!」  彼女を利用しようとする者に制裁を加えていく。  だから、今日も彼女は僕の隣で変わらない笑みを浮かべ続けているんだ。 「何だか最近、色んな事が上手くいってる気がするの。どうしてかな」 「さあ、何でかな。でももうすぐ付き合って一年の記念日だろ。きっと気をきかせた神様からのご褒美なんじゃないかな」
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