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01
僕には彼女がいる。
付き合う事になったきっかけはただの流れで、なんとなくだった。
周囲に流されるままに「つきあってみる?」「じゃあよろしく」っていうのが始まりだったかな。
我ながらしまらないシーンだと思うよ。
今の僕が過去の僕にあったなら、「何でそんなかっこ悪い付き合い方したんだ」ってぶん殴ってやっただろうね。
で、なりゆきで付き合った彼女だけど、いまはもうベタ惚れ。
彼女なしの人生なんてきっと考えられないよ。
彼女の心が優しいって気づいた時の事は今でも思い出せる。
彼女の中にある力強い信念を目の当たりにした時の事も。
彼女の魂に根付く正義感が発露した瞬間の事や。
彼女の心の底に眠っている母性に気が付いた時の事も。
そして、彼女の笑顔の魅力。
デートの時に。
日常で過ごす時に。
ふいに蕾が花ひらく様に笑いかけてくる彼女。
僕はたちまち彼女の笑顔のとりこになった。
あれ以上の素晴らしい物なんてこの世にはないんだ。
だから僕は、彼女が笑顔でいられるように努力する事にした。
「ひぃっ、助けてくれっ!」
彼女をいびる人間を排除して。
「お金ならなんでも出すからっ!」
彼女をつけ狙う不埒な輩を成敗して。
「命だけはどうかっ!」
彼女を利用しようとする者に制裁を加えていく。
だから、今日も彼女は僕の隣で変わらない笑みを浮かべ続けているんだ。
「何だか最近、色んな事が上手くいってる気がするの。どうしてかな」
「さあ、何でかな。でももうすぐ付き合って一年の記念日だろ。きっと気をきかせた神様からのご褒美なんじゃないかな」
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