きらきら森は大忙し

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きらきら森は大忙し

お陽さまが森の奥から起き出すまえ, チサは布団から起き出して,朝のしたくをせっせと始める。 外に出て,新鮮な水がわき出る(いずみ)から, 家の中へとつながる水路を(へだ)たる板を 外している。 チサは半分人間・ もう半分が(けもの)の血を引く少女。 あまたの薬草が生い茂る『きらきら森』にある薬屋さんで下働きしている。 『きらきら薬局』 チサが生活をし,働いている薬屋(くすりや)さんには,『ライ』さんというすご腕の薬師(くすし)がいる。 ここの薬局の主人(あるじ)だ。 チサの仕事は,台所の炊事と家の中のそうじ,ライさんの仕事着の洗たくが中心なのだ! 初めて下働きをした日,チサは緊張のあまりお腹がけいれんして,玉のような汗が()()した。 やがて顔色が青くなり,震えが止まらなくなって,ライさんがすぐさま薬湯を作って飲ませて貰った。 「ごめんね,気づいてあげられなくて」 身体の大半が人間ではあるけれど,耳としっぽ,毛繕(けづくろ)いをする癖は,猫の習性が色濃くでてしまう。
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