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急拵えで作ったサンドイッチとチチルをレグルに渡すと,レグルは大切そうにしまい込んだ。
「ロイさん,森の西側に出没しているらしいんです。緊急時には,これを渡すようにと,ライさんが・・・」
何層もの紙を巻き付けた,丸い玉を2つ手渡された。『音 玉』というモノらしい。
獣の類いは,『光』や『音』に敏感で,
錯乱して逃げ惑うものや身体が強張ってしまうものもいるらしい。
チサは,ジークが傍にいるので使う必要は無いのだが,念には念の入れようで,ライさんから親指大の音玉を3個ほど持たされていた。
「じゃあ,チサ。気をつけて行っておいで。ジーク・・・」
「薬師どの,了解している。危険なことはさせない。チサどのが,お転婆さえしなければ」
「そんなことしません・・・」
ほぼ・・・当たっている( ; ゚Д゚)
「オレは今日も薬局の業務が控えている。みんなには申し訳ないが,各自作業に当たってほしい。
スノウやホノカには,オレから連絡を入れる。あとは公爵のところか」
「クレメインさま?」
「あの鉱山も公爵の持ち物だ。ひと事伝えないと,厄介だぞ!」
みんなは,それぞれの目的地へ足を運び,ライさんはスノウとホノカに素材の確保に向かうよう手配をした。
通信法具でクレメインに連絡を入れ,
諸事情を伝えると,『チサちゃんのためなら』と了承してくれ,手紙を認めて,家人に送り届けると約束してくれた。
ジークは,チサが金属片というか?
薄く平べったいバターナイフのようなモノを首からぶら下げているのが気になっていた。
「チサどの,その金属みたいな代物は?」
チサの問いは簡単だった。
「何でも切れるナイフのようなモノです。薬局に勤め始めた頃,スノウさんと一緒に薬草のある場所を教えてもらっている時に拾ったんです。
スノウさんが言ってました。『この森には,前文明の残した忘れ物が落ちている』って」
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