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「今回,ホビット族の長どのからの依頼で,ガイル猪が田畑を荒らす被害が多出している。ボスに当たる雄を含む何頭かを『間引く』事にした。
これは余談だが,ここにいるチサの父親の手術の条件の1つにもガイル猪が上がっている」
チサは薬局のみんなに,父・フウガの事を話し,兄のように慕うサーフィスの紹介で,アルファにいる女医からの条件を伝えた。
スノウやホノカがライさんの指令で動いていたのは,そういう理由があったからだ。
「しかし,チサどの。我々は,北の鉱山で柘榴石を採集するというアレは?治療の一環で使われるのか?」
ジークの問いかけに,
治療ではないというのだ。
「柘榴石の大きさを指定しているので,どなたかに渡されるんじゃないですか?」
弱々しく発言してきたのは,スノウだ。
「女医さんは,色の指定もしているのでしょ?柘榴石はさまざまな色を持っているので,赤い石となると,若い女性が好む傾向がありますね」
「1か月後に,王都で各国の王族を呼んで交流会をすると聞いております。
その際に昼食でガイル猪と氷華桃と火華の花酒,ガイナス魚の胃袋にある『綺麗なモノ』との要望がありました」
「火華の花酒は収穫してすぐに漬け込んだとしても,半年以上は寝かせないと,美味しくはならないわ!ゼアの街で花酒の美味しい酒蔵さん知っているから,交渉してみる」
ホノカが懇意にしている酒蔵があるとは,意外だった。
チサはホビット族のリルに手助けしてもらった有色の柘榴石を,袋から取り出した。
みんなの目の色がきらきらと変わっていくのが目に見えて分かる。
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