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「我々はチサどのに救われたモノとして,感謝しております。ここにいるモノたちは,仲間であり家族なのです。
家族が困っていたら,手を差しのべるのは当たり前の事だと,我らはそう思っております」
ジークは,レグルの頭を撫でながら,その暖かい言葉に涙が溢れそうになる。
みんなの様子を垣間見ていたライさんは,週末にガイル猪を狩る事を伝え,それまでに必要なモノを揃えておくように言って,部屋に戻ってしまった。
翌日になると,前日の静けさが嘘のように慌ただしくなり,お客さんで溢れんばかりだ。
ここを利用するお客さんは,カントの街の人か,街はずれから少し離れた集落の人たちがやって来ている。
生活に必要なモノをカントまで買いに行くのは大変だそうで,ライさんは休日の日に青空市場へ買い付けに行く。
女性向けの商品が分からなくて,集落の奥さんたちに聞いてまわる事もしばしば。
チサは母・セリが言っていた,役に立ちそうな内容を紙に書く。
『女性はね,身だしなみは大切なモノなのよ!髪留めは勿論のこと,櫛や,身体を清潔に保つために石鹸もあっても良いし・・・』
ペンで書き込むチサをレグルは,
「チサちゃん,何書いてるっすか?」
「えっ?薬局にいらっしゃるお客さんは,カントの街までの買い出しが大変なの。
普段は,ライさんが休日を利用してお客さんが使う生活雑貨を買いに行くのだけど,どういうモノが必要なのかが分からなくて,以前うちの母が言っていた事を思い出して,書き留めてみたんだ!」
書いた内容を書いたメモをみたレグルは,う~むと唸りだした。
「すごいっすね!オレなんかは,美味しい食べ物があれば,基本嬉しい方だけど,女の人は色々必要なんだね!」
「そうよ!必要なの。ここに無いのは,浴場と生活雑貨を扱うお店と,食品店,それに・・・食堂かしら?森を切り広げれば可能なんだけど,クレメインさまの領地だから,勝手に広げるのは無理な話よ」
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