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2話目
「えっ?」
ドアを壊して脱出したまでは良かった。外に出られる!そう思っていた。
しかし、そこには、数人の男女が集まっている。
「これはどういう事?脱出した筈だよね?」
ヒナタも僅かに動揺しているように思えた。いや、それの数十倍私は動揺していた。
「やぁ、こんにちは。」
するとその時、1人の男性が声を掛けてきた。
「えーと?どうも?」
私は声を掛けてきたのと、この状況とでパニックに陥っていた。
「君達でどうやら最後のようだね。」
さっきの男性が意味分からない事を言っている。
「それは、どういう事?」
ヒナタが代わりに返事をする。
「えっ?あぁ、周りを見てごらんよ。」
そう言われて周りを見渡すと
「えっ!?ドアがたくさん…もしかして、あなた達もここから出て来たんですか?」
そこには、6つのドアがあった。いや正確に言えば1つボロボロになっていたが。そして、私達以外の人達はもう先に出たのであろう。扉が開いていた。
「うん、そうだよ」
「なるほどね、そういう事ね」
彼の言葉を聞いて、ヒナタも頷いている。すると、その男性が
「おっと、失礼。それじゃあ全員揃ったところで自己紹介でもしようか。」
と言って、おいでおいでと手招きして私達を呼び寄せた。そして、自己紹介が始まった。
まず、先ほどの男性。
「僕は、鈴原レン。好きなように呼んでくれて構わないよ。年齢はちなみに24歳ね。正直ここに来るまでのことは覚えていない。だけど、みんな、2人一組で出て来たみたいだね。僕は彼女と一緒に出て来たよ」
紹介された(?)彼女はレンさんに促されて自己紹介した。
「初めまして、日和リンカです。ええっと、年齢は16歳で他の人と違うのは共感覚を持っていることですかね。お、お願いします」
若干内気な少女のようだ。
次に出て来たのは青髪の少女だった。喧嘩っ早いのかもしれない。拳を握っていた。
「俺は、丘山ミハルだ。俺に喧嘩で勝てる奴以外は従うつもりはねぇ」
若干怖いなー、と言う印象。年齢はパッと見だけど20代前半かな。そう思っていた時。
「私……良い?」
ボソッと小さい声で呟くような少女が小さく手を挙げて言った。濃い緑髪で片目が隠れている。いわゆる陰キャ…というかなんというか。
「私は、森島サヨネ……15歳。意味分かんないけど…とりあえず頑張る。あと、さっき紹介された…人と一緒に出た」
声が小さかったがなんとか聞こえる。成る程、サヨネちゃんはミハルさんとペアだったのか。次に手を挙げたのは白髪の少女だった。
「うん、じゃあ次は僕かな?僕は神原ユキナ。17歳。後は特に無いかな?あ、ちなみに僕もここまでの記憶はないよ」
その言葉に全員が頷いた。つまり、全員ここに来るまでの記憶が無いってことか。茶髪メガネの男性が口を開いた。
「ふー、じゃあ俺だな。オレは新橋マコト。22歳。手に持ってるのは水道管のやつ。なんで持ってるのかは部屋にあったから持ってきただけだ。後、予想通り俺はこいつと同じ部屋だった」
【参考イラストが消えてしまっています…ごめんなさい!何かミスをしてしまったようです…後々貼りますのでお待ち下さい!】
彼の紹介が終わると、次に赤い髪の女性が自己紹介を始めた。
「じゃあ、私なのかな?私は古河チサト。23歳。なんか、凄そうだね?」
この人、全然状況を理解してないのかな?
すると焦ったように、緑のような赤のような髪の男性が喋った。
「あっ、お前!自己紹介しやがった。じゃあ俺もやんなきゃじゃん?俺は柊ハルト。28歳。もう分かると思うが、同じ部屋だったよ」
ミサトさんを責めながら、ハルトさんも自己紹介を終えた。次に手を挙げたのは青目の青年だった。
「じゃあ、俺が。宮原ショウ、19歳。特に目立つ所もないけど、強いていうなら人より目がいいね。それぐらい」
「人より目が良いってどのくらいなんだい?」
レンさんが質問をした。
「そうだね、俺は両目とも2.0だよ。まぁ、それぐらいしか自慢がなくてさ」
そう話が終わった。すると、同じ部屋であろう紫髪の青年が口を開いた。
「僕だね?僕は片桐ハジメ。20歳。時折、病んじゃう時もあるけどその時は放置しといてね」
少し気弱そうにみえる。でも、意見ははっきり言う青年のようだ。さて………後は、私とヒナタだけ。
「僕は、潮風ヒナタ。18歳。なんだか、よく分からないことに巻き込まれちゃったしさ。最悪なんだけど。まぁ、いいか。ほら最後君だよ?」
ヒナタがこちらに目を向けてくる。全員の目がこちらに向いてくる。
「……!」
落ち着け、落ち着け、落ち着け。大丈夫、大丈夫、大丈夫。彼らが向けているのは、悪意の目じゃない。哀れみの目でもない。嘲笑の目でもない。大丈夫…!
「××××です。18歳で、ショートスリーパーです。頭は良くないですけど、運動神経はそれなりにあると思います。ええっと、よろしくお願いします」
よし、やり切った!大丈夫、大丈夫。怪しまれてないはず。
「さて、全員の自己紹介が終わったけど、どうしようか?」
レンさんがまとめるようにそう言った。
「そうですね、ここ以外にも部屋があるみたいですし少し探索してみませんか?あっ、でもバラバラだと危険ですかね?」
リンカちゃんがそう提案した。
「いや、良いんじゃない?バラバラがダメなら二人一組とかでさ。丁度、同じ部屋の人でさ。」
ヒナタがそういうのを皮切りに少しずつ動き始めた。
「じゃあ、僕達も行こうか。」
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