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念願だった小学校の教員で、ワクワクしながら髪の毛をセットした。
「これで良し…と♪」と言い、鏡で再度チェックをしていると「何度見ても同じだよ」と同棲をしている恋人・高杉智がニヤッと笑いながら、背後から抱き締めてきた。
「んもー!何で意地悪なことを言うのよ~!!」と言いながら、振り向くと智はクスッと笑うと顔を近付けてキスをした。
まなが顔を赤らめてピクッと反応をすると「何てね。可愛いよ」と言い、智は胸を揉んできた。
「ダメだって…遅刻しちゃうよぉ…」と言うと、まなは智から離れると小走りで玄関へと向かった。
智はバンドマン兼フリーターで、まなが大学生の頃にアルバイトをしていたコンビニエンスストアで知り合い、智から告白をしてお付き合いをしてからまなの住んでいたアパートで同棲がスタートした。
ただ仕事でちょっと嫌なことがあると、すぐに休んだりしていて、それを指摘すると不貞腐れてしまうのがまなは気になっていた。
電車に乗り、ドキドキしながら就任する小学校へと向かった。
智と付き合って5年になろうとしていて、周りからは「いつ結婚するの?」かと聞かれていたため、それとなく聞くと「まだ早いよ♪」とはぐらかされてしまっていたのと、自分もまだきちんとした仕事をしていなかったため、笑って誤魔化していた。
小学校がある駅に到着し、思い切り背伸びをしてから深呼吸を五回するとバスへと乗り込んだ。
バスが発車をしようとすると「あっ…あ~!乗ります!!」と慌てて、全身黒尽くめの前髪が長くて痩せた男性が走ってきて、まなが「待ってください!」と言うとバスが停車し、男性は肩で息をしながら手すりに捕まっていた。
まなが心配そうな顔をしていると、その男性と目が合ってしまいドキッとしていたが、男性は慌てて目を反らし、バスは小学校がある道へと向かって行った。
走ること15分、小学校があるバス停に到着をすると男性も一緒に降りようとすると「あれ??定期がない…」と言い、慌てて探していると床に茶色いパスケースが落ちていて、まなはそれを拾い上げ「こちらですか?」と言いながら男性に手渡すと「わわっ!スミマセン!!ありがとうございます!」と言い、何度も頭を下げると運転手に定期を提示して降りて行った。
まなもバスを降りて、小学校へと向かってあるいていると男性も歩いてきた。
小学校に入ると男性も小学校へと入ってきて、ようやく小学校の教員だと気付いた。
内心「この人、大丈夫かなぁ??」と思い、心配をしていると「夏川さんかな?」と校長先生が声を描けてきて、まなは「ハッハイ!
」と言いながら、慌てて振り向いた。
校長先生はニッコリ微笑み「元気があって、よろしい。今日からよろしくね?」と言い、まなの肩を優しく叩いた。
職員室に入ると、先程の男性が他の男性教諭にからかわれていて、何となく嫌な気持ちになっていると、名前を呼ばれたため駆け寄ると「自己紹介をお願いしますね」と言われ、笑顔で軽く自己紹介をした。
「えと…夏川まなです。まだまだわからないことばかりなので、色々とご指導をよろしくお願いします!」と言い、まなは深々と頭を下げると拍手喝采だった。
「よろしくお願いしますね。夏川先生の教育担当は…と。岩下飛鳥先生!よろしくお願いしますよ」と言いながら、校長先生はニッコリ微笑むと先程の男性の肩を優しく叩いた。
「えっ?!あっ…はっはい!」と言うと、男性は顔を赤らめながら慌てふためいていた。
まなは内心「大丈夫かなぁ?」とまたしても思いながら、案内された席に座ると隣同士だった。
まなは大きく溜め息を吐くとカバンを机の上へと置き、メモ帳とペンを手にすると「さっきはありがとう」と、飛鳥がボソッとお礼を言ってきた。
「えっ??あっあぁ!気にしないでくださいね?私もよくやらかしては、怒られてますンで…」と言い、まなは苦笑をしながら頭を軽く掻いていると「そうなんですね。じゃあ、行きましょうか」と言うと、飛鳥は出席簿を手にして廊下を出ていった。
まずは校内を案内したり、設備などを教えた。
飛鳥は四年二組の担当で、やんちゃな子どもばかりのクラスだと照れ笑いをしながら話していた。
案内し終えると、まばらに生徒たちがやってきていて飛鳥が挨拶をすると「おはよー!」とか「おはようございます」など声をかけていた。
始業式を終え、教室に入ると「イワちゃん、おはよー」と男子生徒の鷲塚駿太が、ニカッと笑いながら挨拶をしてきた。
まながドキドキしながら廊下で待っていると「今日から新しい先生がやって来るから、皆仲良く親切にしようね」と飛鳥が言うと、さらに盛り上がっていた。
飛鳥が「あっあの。どうぞ…」と言い、まなを教室に招き入れると「わぁ~可愛い♡」とか「やったぁ♪新しい先生だ」などと声が上がっていて、まなはとても嬉しかった。
まなはニッコリ微笑みながら「夏川まなです。今日から一年間、よろしくお願いします!」と言い、頭を下げると「よろしくー」などと大歓声が上がった。
こうして楽しい一日は、あっという間に過ぎていった。
帰り支度をし、飛鳥にお礼を言うと「えっ?!あっいえ…自分は何もしてませんから…」と言い、飛鳥は顔を赤らめながら慌てて何度も頭を下げていた。
まなはニッコリ微笑みながら「一年間、よろしくお願いします」と言うと、飛鳥は目を合わせないものの何度も頭を下げていた。
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