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「選手交代だ。小さなヒーロー。」
声と共に肩にかけられる布。これは…マント?
横を通り過ぎた人影から、ふわりと香るシャンプーの匂い。
「借りを返しに来たぜ。」
ニッと八重歯を見せて笑う軍服の女性。声からして間違いない。ゴロツキに絡まれていたあの人だ。
その背中には白い輪に翼のエムブレム。あれって……。
「あ……っ!」
あなたは? そう訪ねようとしたが、ケモノの腕状の舌が動き出したのを見て、咄嗟に「危ない!」と叫ぼうとする。
「っ! よっと。」
舌の動きは速い。腕状の先端に至っては目で追えないほど。
しかし、女性は腕状の手首あたりを難なく片手で掴み取った。
「おいおい……。女性に無断で触るのは重罪だ、ぜっ!」
女性はため息をついて、掴んだ舌を引っ張る。ケモノの脚が地面を離れ、私たちの方へ飛んで来るが、更に女性は懐からサブマシンガンを取り出し、ケモノにばらまいた。
「グギャァァァ! 」
無数の弾幕に、ケモノの体はいくつもの穴が開き、舌は千切れ、胴体が地面に落ちる。
「ふぅ…こんなもんか。」
「す、凄い……。」
あのケモノをものの数秒で、一方的に蹴散らした。
驚きを隠せず、つい思ったことが口に出てしまう。
「っと、無事か?」
「あ、あなたは…いったい……。」
「ん? あぁ、俺はガブリエルだ。軍事企業コロニー『シャングリラ』の『天使』って言えば分かるか?」
この人が『天使様』……。
「こーら。」
「あたっ!」
呆気にとられていると、額にチョップが降ってくる。それは紛れもなく天使様……ガブリエルさんのもので。
「救助対象を保護したら安全な場所まで誘導、だろ? ボーッとするな。」
救助対象……あ!女の子!あまりに静かすぎた為、腕に抱えたまま忘れていた。
慌てて女の子の顔を覗くと……。
「……。」
「…あの、これって……。」
「気を失ってるな。まぁ、無理もねぇか。俺が護衛する。その子おんぶして門まで向かうぞ。そこが1番安全そうだ。」
「は、はい!」
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