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「ねぇ……教官遅すぎない?」
地面に座り、空を仰ぐアネットちゃんが言った。
あれが『雲』と言うのものなのかな? 何だか赤黒く、想像とかけ離れている。
「もうすぐ隊長の言ってた1時間だぜ? 集合場所に戻ってるんじゃねぇの?」
同じく空を見上げるザックが惚けた顔をする。さすがに気を緩めすぎだよ・・・。またさっきみたいないざこざがあるかも知れないのに。
「うん。教官も戻っているかもしれないし、私たちも戻ろう。」
「賛成。」
「右に同じくだな。」
私の一言で2人が立ち上がる。
空は変わらず赤黒く、本物の日の傾きが分からない。電磁波でも出ているのか、時計の針もさっきからグルグルと回り続けている。
「今、何時なんだろう…。2人とも早く行──。」
カン!カン!カン!カン!
「っ!何よ、この音!」
「なんだ?!火事か?喧嘩か?」
鳴り響く金属同士を打ち付けたような音に、私たちは耳を塞ぐ。
その中、塞いだ耳にも入る声量で誰かが叫んだ。
「ケモノだ!ケモノが出たぞぉぉ!!」
「え……。」
その声にみるみる血の気が引いていくのが分かった。
アネットちゃんとザックも蒼白した顔で硬直している。
なんでここにケモノが……。
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