不良王に、俺はなる!

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 ***  そして僕は。そんなアサトの、彼なりに“不良になろうとして頑張りました”なシーンの数々を目撃することになる。 「うおらぁ!てめぇら何しとんじゃあ!?」  おお、凄いじゃん。登校途中に、コンビニ前の不良三人をぶっとばしたぞ。……気弱そうな中学生をカツアゲしようとしていた不良だけど。  でもってめっちゃ中学生に感謝されてるんですけど。ほら、そこやらかした、って顔しないの。 「おらおらおら!このクラスで一番強いのは誰だぁ!?」  おお、まさに不良っぽいね。クラスで一番強い奴をぶっとばすってアレでしょ?  残念ながら学校に来るの早すぎて教室に殆ど誰もいないんですけどね!真面目すぎるでしょ、不良気取るなら遅刻くらいしないよ。 「なんだとコラ、俺に言いたいことがあるのか?」  おっと、しばらくして登校してきたクラスメートに声かけられたぞ!眼があった男子にガンつけるとかちょっと不良っぽいね!  まあ、お前何その面白いカッコ!写真撮らせろよー!ってみんなにわらわら集まられて人気者になってるし、それ断れてない時点でもう不良じゃないんだけどね! 「な、なんだとこ、いやその、何でございましょうか」  おっと不良ルックなくせに、先生にタメ口もきけないぞこいつー!目上を敬えっていうのがもう完全に染みついちゃってるじゃん、駄目じゃん!  しかも明らかに校則違反の恰好で学校来たアサトに対して先生が“ど、どうした武田!?何か辛いことでもあったのか、先生がなんでも話を聴くから相談してくれ!”ってガチで心配してるんですが。校則違反さえ叱られないってどゆことよ。 「え、えっと、その……」  もう諦めなってば。窓の外から一部始終を覗いていた僕、ため息をつくしかなかった。  お前、自分が学年トップの成績の優等生だって事実をすっかり忘れてない?そりゃ叱られるより心配されるに決まってるだろ、この真面目君め。
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