不良王に、俺はなる!

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 *** 「は、はっはっは!この俺の、イカした不良の才能が花開いた瞬間を見たかアキト!」 「あー……ハイハイハイハイ」  その日の夕方。律儀にハンドボール部の助っ人を手伝って帰ってきた不良()は、偉そうに僕の前で胸を張ったのだった。頭にかぶっていた金髪リーゼントのカツラと、ネットで買った改造学ランのコスプレ服を脱ぎながら。自分の髪染める勇気もないし自分の学ランを実際に改造する度胸もない時点で無理だと何故わからないのか。 「しかも、最終的には人のものを盗んで帰ってきた!どうだまさに悪人だろう!」  そう堂々と宣言する彼の腕には――にゃぁ、と可愛い鳴き声を出す白い子猫の姿が。  盗んだって、道端に捨てられていた子猫を見て見ぬふりできずに拾ってきただけやんけ、と僕は心の中でツッコミ。根本的なところに善意と誠実さしかない奴が、不良王になんぞなれるわけがないのである。 ――まあ、しばらくはお遊びに付き合ってあげますかね。  ふぁあーと。同じく彼に拾われた元捨て猫の僕は、尻尾を立てて大きく欠伸をするのだった。
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