悪い噂

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悪い噂

山田さんに聞きに行ったとき 山田さんから、どんな話が噂で流れているのか 聞いた…… 噂は、私が色々な男に色目を使って関係を持っているという話。 だから、私達の5人グループ内でもみんなと関係を持っていて、陽翔は一途に私を好きだけど、私は、陽翔の気持ちを弄んでいる。 そして、莉子は陽翔が好きなのに私のせいで振り向いて貰えず悲しんでいるとの噂だった…… 「どういう事……?」 思わず言葉が口からもれてしまった。 そんな事実は陽翔が私を好きな事以外は、 全くない。どうしてそうなってしまったのか頭が真っ白になる。 「噂によると、あなたのグループのもう1人の椎名さんから聞いたという噂も流れてますよ。もしかしたら、椎名さんが流したのではないですか?」 と山田さんが言っていた。 椎名とは、莉子の苗字だ。 「そんな、信じられない……」 莉子がどうして……?私は、信じる事が出来なかった。それが事実ならすごくショックで、落ち着くまでは莉子に会いたくない。 そう思っていたのに……家のインターホンがなった。 インターホンのカメラをのぞくと 陽翔と莉子が2人だけだった。どうして2人だけなんだろう……言い表せない違和感を感じる。 いつもだったら、莉子がどこか出かけるにも樹がついてくるはずなのに。 私は違和感を感じながらもドアを開けてしまった。 それが目の前の結果…… 私は、どうする事も出来ず倒れている陽翔を抱き抱えて真っ赤に染まった手を眺めている。 「莉子、お願いだから救急車を呼ばせて!陽翔が死んじゃう……」 「私は、どうなってもいいからお願い!」 私は、必死に全体力を注いで叫んでいた。 「お願い!」 「ふん。2人とも仲良くいなくなればいい」 そう言うと、私にナイフを向けながら近づいてくる。 もう、無理かな。と思って目を瞑った時に 男性が入ってきて莉子を捕まえている。 「警察です!大丈夫ですか?」 「助けてください!この人、刺されています。救急車!」 大きな声でその場にいる人達に聞こえるように叫んだ。 程なくして、陽翔は救急車で運ばれて私は力尽きて、陽翔が救急車に運ばれた事を確認すると気を失った。 私もその後、気がつくと病院のベッドだった。 一日眠り続けていたみたい…… 「すいません。陽翔は大丈夫でしたか?」 事情聴取をしようと待機していた警察の方に 目が覚めるなり、聞いていた。 「あの子は……お亡くなりになりました」 私は、耳を疑った。よく意味がわからない。 信じられない。 その後も、お母さんに聞いたり、看護師さんに聞いたりしたけれど、みんな同じ答えだった。 陽翔のお別れの会は、病院から退院した日に行われた。家に帰って制服に着替えたらすぐに向かった…… お別れの会と聞いていたけれど、ドッキリだと全然信じられなかった。 私が信じられたのは、お別れの会で、陽翔の亡骸と対面した時だった。陽翔は眠っていたようで、触ると冷たかった…… そこで初めて陽翔と会えないんだと気がついて涙が止まらなくなった。 目がくもって視界がみえない。雫がポタポタと頬をつたう。 「私、陽翔の気持ちに何も答えられなくてごめんね」 最後になって陽翔の気持ちに答えてあげられなかった事をとても後悔した。 お別れの会が終わって、数日、心が落ち着くまでは学校を休んでいた。 ずっと、あの日の記憶が消えない。 学校に行くようになってからも私は、1人でぼーとしている事が、多くなった。 樹も悠真も近くで見守ってくれているように感じたけれど、朝の挨拶だけで、その後はお互い話そうとしなかった。 莉子は、捕まったから学校を退学していた。 私達残された3人は、それからはそれぞれ別行動をするようになった。 お互いに近くにいて気にはしていたし、何かあったときには助けたりしたけど、それ以外はみんな、はしゃぐ事もなく静かに過ごして卒業した。
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